2022
08.17

発見+PLUS


製糖工場を探検!
北海道の砂糖ができるまで

ホクレン農業協同組合連合会 てん菜生産部 砂糖製造課 田中 忠寛

  • 調味料の「さしすせそ」は、和食の基本と言われていますが、最初に出てくる「さ」は「砂糖」であることを皆さんはご存じですか?砂糖はどんな料理にも使用できることから、食卓になじみのある調味料ですよね。
    さて、今回はホクレン砂糖製造課の田中さんにナビゲートしてもらいながら、北海道の砂糖がどのように作られているのか、普段なかなか見ることができない製糖工場の現場とその裏側を追いました。

    ホクレン農業協同組合連合会
    てん菜生産部 砂糖製造課
    田中 忠寛

  • 今回の『発見+PLUS』をご覧になる前に、2021年3月にリリースしたアーカイブをぜひご覧ください。

24時間フル稼働で製造される「砂糖」

  • 砂糖はてん菜(ビート)と呼ばれる作物から作られています。国内におけるてん菜は北海道のみで生産されており、収穫時には直径10〜15cm、長さ約30cm、重さは800g〜1kgほどになるカブのような見た目の植物です。糖度は15度以上あり、てん菜6kgから約1kgの砂糖が作られます。
    てん菜から砂糖を作る製糖工場は北海道に8箇所あり、ホクレンではオホーツク地方の斜里町にある中斜里製糖工場と、十勝地方の清水町にある清水製糖工場の2拠点となっています。

  • 中斜里製糖工場ではグラニュ糖を、清水製糖工場ではグラニュ糖に加えて上白糖・てんさい糖を製造しています。収穫が始まる10月からてん菜が運び込まれますが、同じホクレンの工場でも原料を受け入れる産地が異なります。中斜里製糖工場は網走市・大空町(旧女満別町)・清里町・斜里町・小清水町・中標津町・弟子屈町の7市町から、清水製糖工場は士幌町・上士幌町・鹿追町・新得町・清水町の5町から受け入れています。原料搬入後は、翌年の3月頃までの約6カ月間、24時間休みなく稼働し砂糖を作り続けています。

田中さんへのなぜなぜ??〈質問コーナー〉その1

  • Q1.どうして製糖工場は24時間稼働しているの?

    てん菜の処理開始から砂糖ができるまでは1日以上の時間を要するため、24時間連続稼働することで効率的に製造しております。また、工場ではボイラーを動かし自家発電しており、停止・稼働を繰り返すとエネルギー効率が悪くなります。

     

    Q2.24時間稼働している製糖工場で、皆さんはどんなふうに働いているの?

    製糖が始まる10月以降は、工場では3交代制で勤務しています。例えば中斜里製糖工場では、7:40〜16:00、15:40〜24:00、23:40〜8:00という勤務体制になっています。

     

    Q3.真夜中の勤務は大変ですよね?

    3つの時間帯での交代勤務となりますが、休日をうまく活用し、体のリズムを整えながら勤務にあたっています。勤務する時間帯によっては、昼に寝て夜から働くことや夜中に働いて朝に寝ることもあるため、特に製糖工場に勤務した初めの頃はこの生活に慣れるまではとても苦労しました。

     

    Q4.交代制勤務だと職場のメンバーと会えなくなるの?

    働く時間帯が異なることで、ほとんど会わなくなるメンバーもいますが、操業前に定期的な打合せを行ったり、業務の申し送りを万全に行うなどコミュニケーションを取りながら、常に品質第一を心掛け、安心してお使いいただける砂糖づくりに努めています。

てん菜から砂糖ができるまで

    収穫されトラックで運ばれたてん菜をきれいに洗います。

    スティック状にカット。温水に浸して糖分を抽出し糖液を作ります。

    イオン交換樹脂を使用し不純物を除去。水分を蒸発させ濃縮します。

    濃縮した糖液をさらに煮詰めて結晶化させたのち、遠心分離機で結晶の砂糖と液体の蜜分に振り分けます。

    振り分けた結晶を乾燥・冷却し、ふるいにかけて粒度を揃え、 家庭用や業務用などの用途に合わせた包装をします。

    倉庫で保管し、年間を通して出荷しています。
    原料受入から製品化まで、およそ1日半〜2日ほどかかります。
    (清水製糖工場の場合)

 

砂糖製造に「塩」を使う⁉

  • 高品質な砂糖を作るために、製糖工場の設備は改善し続けています。中斜里製糖工場では、一度結晶化した砂糖を溶かし、再度結晶化することで純度を高めた砂糖を作る「再溶糖システム」を導入しており、清水製糖工場では、砂糖以外のものをできるだけ除去してから結晶化することで純度を高めた砂糖を作る「前段クロマト脱塩システム」を導入しています。
    製糖工場は砂糖を作る工場ですが、両工場合わせて年間で5,000t程度の塩を使います。糖液中の不純物を除去するためにイオン交換樹脂を使用しているのですが、除去できる量には限界があるため定期的に塩を使い、再度使用できるようにしています。

田中さんへのなぜなぜ??〈質問コーナー〉その2

  • Q1.24時間稼働し続けて砂糖を作り終えた後、製糖工場では何をしているの?

    砂糖を作り終えた後、9月末まで各機械のメンテナンスを行っています。大きなトラブルにつながらないよう、各機械ごとに周期を決めて機械の細かな点にも気を配り、点検・修繕を行っています。

     

    Q2.稼働中のメンテナンスはどんなふうにやっているの?

    リスト化された点検項目に基づき巡視点検を行っています。外観・臭い・音に異常がないか、視覚・嗅覚・聴覚を駆使しながら綿密に点検を行い、安定稼働に努めています。これは、工場が稼働してから機器破損等によるトラブルが起こらないようにするための大事な作業です。

     

    Q3.製糖工場での勤務はとても大変そうですが、どんなことがやりがいですか?

    夏場にしっかりと機械などのメンテナンスを行った後、10月から製糖が始まりますが、自分の受け持った機械がトラブルなく、春の操業を終えた時にすごく嬉しく思います。また生産者からお預かりしたてん菜を最後まで製糖を行うことができた時、ものすごくホッとします。

田中さんから全国の皆さんへのメッセージ

  • てん菜は、北海道畑作農業の輪作体系を維持する基幹作物の一つであり、生産者とこれを加工する私たちから成り立っている地域の大切な産業です。常に“高品質”な砂糖を作ることができるよう、てん菜の生産者と一緒になって、これからも北海道産の安心安全な砂糖を製造し続けていきたいと思います。生産者や僕たちの思いがたくさん詰まった砂糖を、ぜひさまざまな料理にお使いください!