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生乳の生産日本一を誇る酪農王国北海道。皆さんは北海道内のいたるところで、その土地の新鮮な生乳から作られるチーズが数多くあることをご存じでしょうか?
今回は、そんな北海道で作られる地チーズについて、ホクレン生乳共販課の竹尾よりご説明いたします。
ホクレン農業協同組合連合会
酪農部 生乳共販課
竹尾 淳

北海道地チーズとは?
北海道地チーズについてお話しする前に、皆さんはナチュラルチーズとプロセスチーズの違いはご存じでしょうか?この2つの違いは製造工程にあります。
〇ナチュラルチーズ

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牛乳などに乳酸菌や酵素を加えて固まったものから、水分を取りだしたものがナチュラルチーズです。その中にはフレッシュタイプやハードタイプなどの様々な種類があり、乳酸菌が生きているため、時間の経過とともに熟成されます。熟成の期間が短いと牛乳本来の味わいが残っており、クセが少なく食べやすいです。熟成が進むと風味やコク、うま味が増していきます。
〇プロセスチーズ

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ナチュラルチーズを粉砕し、乳化剤や水などを加え加熱し溶かし、型に入れ冷やし固められたチーズです。加熱により乳酸菌は死滅してしまうため、熟成されることはありませんが、賞味期限は長くなります。スライスチーズや6Pチーズなどがあります。
私たちは北海道各地で作られるナチュラルチーズを北海道地チーズと呼んでいます。聞き慣れない方もいらっしゃると思いますが、地酒などと同じイメージをしていただけるとわかりやすいと思います。北海道にはチーズ工房や乳業メーカーがたくさんあり、国産ナチュラルチーズ生産量の約98%のシェア(プロセス原料用を含む)を占めています(農林水産省「牛乳乳製品統計」(令和2年))。
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今でこそ北海道地チーズは北海道内各地で生産されていますが、乳業メーカーによる製造が本格的に開始されたのは1933年が最初でした。当時の技術者達はほとんどの設備を自力で開発するなど製品化に到るまでには相当な努力があったようです。戦後以降、食生活の洋食化に合わせチーズの消費量は伸び、それに伴い1980年代前半までに主要な乳業工場で製造されるようになりました。
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国産ナチュラルチーズの生産量
(プロセス原料用を除く)
(R2年 農林水産省「チーズの受給表」より)
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一方、工房によるナチュラルチーズの製造が盛んになったのは1980年代のことで、3名のチーズ職人(共和町の西村公祐さん、芦別市の横市英夫さん、せたな町の近藤恭敬さん)が礎を築いたとされています。チーズ作りに懸ける3名の想いや情熱は、多くの人々の共感を生み、大きな流れとなりました。
現在では北海道内には数多くのチーズ工房がうまれ、地域の風土や職人のアイデアを生かした多種多様な北海道地チーズが生産されています。そこにはもちろん原料となる北海道産の高品質な生乳の存在も欠かせません。