2021
09.21

発見+PLUS

「ゆり根」ってなんだろう?
その質問にお答えします!

ホクレン農業協同組合連合会 種苗園芸部 野菜果実花き課 近藤 柊人

  • 茶碗蒸しなどに用いられる「ゆり根」。皆さんは「ゆり根」と聞いて、その姿や形、調理方法などパッと頭に浮かびますか?
    今回は、そんな謎多き食材「ゆり根」について、ホクレン野菜果実花き課の近藤よりご説明いたします。

    ホクレン農業協同組合連合会
    種苗園芸部 野菜果実花き課
    近藤 柊人

北海道で栽培される野菜「ゆり根」

  • 美しい花を咲かせ、世界中で愛される「ユリ」。文字通り「ゆり根」はその球根にあたります。安定的にゆり根を生産するには、冷涼で湿度の低い気候と、長期輪作が可能な広い耕作地が必要不可欠です。
    北海道はこの条件を満たし、国内のゆり根のおよそ99%を生産しています。
    北海道で作付けされるようになったのは大正初期からで、現在の深川市で栽培が始まりました。

  • 現在主流となっている「白銀」という品種も、もともと北海道に自生していたコオニユリから選抜・交配を繰り返し、作り出したものなのです。1993年頃には270haほど作付けされていましたが、生産者数の減少やゆり根の需要減少に伴い、2019年には58haまで減少しています。主に真狩村をはじめとした後志地方や、上川地方、十勝地方で栽培されています。

女性にうれしい栄養パワー

  • ゆり根キャラクター「ゆりりん」

  • ゆり根の主成分は炭水化物で、滋養豊かな食物です。多彩なビタミン・ミネラル類が魅力で、特にカリウムは野菜の中でトップクラスの含有量を誇ります。整腸作用のある食物繊維を含み、加熱によるビタミンCの損失が少ない点も大きな強みです。葉酸が豊富なので、妊娠・授乳中のママにもおすすめです。
    ゆり根は主に関西を中心に懐石料理に重用されていますが、食用としているのは日本と中国ぐらいと言われています。中国では古くから滋養強壮、鎮静作用などの薬用として珍重され、薬膳の素材として用いられてきました。
    また、ゆり根は鱗茎が花弁のように重なり合っていることから、「年を重ねる」または「和合(仲の良いこと)」に通じるとされ、吉祥の象徴とされています。重なり合ったりん片を子宝に見立て、「子孫繁栄」の縁起を担ぐとも言われる縁起の良い食べ物なのです。

手作業で大切に栽培。出荷までの長〜い道のり

  • ゆり根の子球

  • ゆり根の栽培は非常に大変で、食卓に届くまでには6年もの歳月がかかります。最初は培養施設でゆり根の元となるウイルスフリーの種子を育てます。そのあと2年かけて母球を作り、それら母球から子球を増殖させます。4年目になるとやっと本栽培が始まります。春に子球を植えると、秋ごろには草丈20僂曚匹砲覆蠅泙后それを掘り取って翌春まで保存し、5年目の春に再び畑に植えます。夏に蕾がでてきたら養分が花に取られないよう、すべて摘蕾します。

  • 摘蕾前(左)と摘蕾後(右)

  • そのためゆり根の畑に花は見られません。秋には同じく掘り取ってまた翌春に植え付けします。6年目の秋に収穫し、ようやく出荷することができるのです。
    また、一度ゆり根を植えた畑には最低でも7年以上の間隔をあけないと再びゆり根を植えることができません。そのため毎年畑を変えられるよう、広い土地が必要なのです。このように、ゆり根は長い年月とたくさんの作業工程を経て生産されているのです。

ほんのり甘くてホクホクのおいしさを普段の食卓へ

ゆり根は和食だけではなく、シンプルに素揚げやバター焼きで気軽においしくいただくことができます。
また、卵や乳製品との相性も良く、レシピも中華や洋風、お菓子などバラエティ豊か。
ゆり根の下ごしらえは意外と簡単なので、ぜひ参考にして一度食べてみてください。

〇ゆり根の下ごしらえ

  • おが粉を水で洗い流し、
    さび・汚れの気になる部分をピーラーで
    削り取る。

  • 外側のりん片から一枚ずつ剥がしていく。
    根元が見えてきたら切り落とし、
    さらにりん片を外していく。

  • りん片を水洗いし、
    気になるさび・汚れを包丁で削り取って
    下ごしらえ完了!

知って、食べて、ゆり根

ゆり根のじょうずな保存方法

  • ゆり根は乾燥に弱く、傷つきやすく、とてもデリケート。強く握ったりこすったりしただけで傷ができたり変色してしまいます。とても繊細なので輸送の際などには、おが粉に埋めた状態で梱包します。おが粉は適度に水分を含んでおり、そのまま冷蔵庫に保管しておくと1か月ほど鮮度を保つことができます。ゆり根は生きており、芽が出たり根を伸ばしたりする場合があるので、様子を見ながら保管すると良いでしょう。時々霧吹きで湿気を補給してあげるとさらに良いです。