2021
04.13

発見+PLUS

北海道のアスパラガスはなぜおいしいの?

ホクレン農業協同組合連合会 種苗園芸部 園芸開発課 黒島 一弥

  • 春が旬の野菜「アスパラガス」。
    北海道で採れるアスパラガスは多くの皆さまから大変ご好評いただいております。
    そんなアスパラガスの特徴などについて、今回はホクレン園芸開発課の黒島よりご説明いたします。

    ホクレン農業協同組合連合会
    種苗園芸部 園芸開発課
    黒島 一弥

Q.北海道のアスパラガスはなぜ高品質なのか?

  • まず、アスパラガスの作物としての特徴をご説明します。

    根:太い貯蔵根(ちょぞうこん)と、貯蔵根から出る細い側根(そっこん)からなり、細い側根が水や酸素、栄養分を吸収します。

  • 茎:地下茎(ちかけい)と地上部茎(ちじょうぶけい)があり、地下茎は地面の下で横に伸び、多くの貯蔵根と、茎の芽を作ります。地上部茎は、各節に小さな三角形の鱗片葉(りんぺんよう)を付けます。

  • 葉:鱗片葉は若茎が地上部に出るときに保護する機能をもっていますが、葉緑素を持たないため光合成はできません。代わりに茎が分岐し、その先端が光合成のできる凝葉(ぎよう)となります。

  • アスパラガスは多年生の植物で、春から伸びた茎が光合成を行い、養分を地下の貯蔵根や地下茎に運びます。秋に地上部は枯れ、翌春、地下部の養分を使って新芽が萌芽します。
    私たちが食べているアスパラガスは、この新芽が育った「若茎」です。
    そして、高品質なアスパラガスを生産するためには、夏秋の光合成が重要になります。

  • アスパラガスの光合成が最も効率的に行われる温度帯は「16〜20℃」です。北海道の8月中旬から9月の温度がこの温度帯に近く、効率的に光合成が可能なんです。光合成が活発に行われると、アスパラガスは貯蔵根に多くの栄養分を貯めこむことができるので、北海道のアスパラガスは高い品質を保つことができているんですね。
    そして高品質を保つポイントがもう一つ!それは収穫時期の温度です。温度が高すぎると、穂先の頭部が開き易くなり、品質が低下してしまいます。収穫時期の春、北海道はやや低温なため、アスパラガスはじっくり成長し頭部が開きづらくなるため、品質を維持した状態で収穫できるのです。

旬のアスパラガス!美味しい頂く方法を伝授

  • アスパラガスを美味しく食べるためのちょっとしたコツをご紹介します。
    アスパラガスは根元が硬いので、皮を剥いて、根元の方から先に入れて茹でましょう。ただ、そのまま茹でると、余熱でアスパラガスの緑色が退色してしまいます。下処理として塩をすり込んでから茹でて、冷水に浸して冷やすことで、鮮やかな緑色を保つことができますよ。

    ホワイトアスパラガスは塩とレモン汁を加えて茹でると、白さを保って茹でることができます。また、剥いた皮も一緒に茹で、茹で上がったホワイトアスパラガスを30分程度茹で汁に浸けておくと風味を維持できます。

  • アスパラガスは0〜5℃程度で保存することが望ましく、ポリ袋に入れ、穂先を上にして冷蔵庫の野菜室で保存すると良いです。-0.5℃以下になると凍結が始まり、溶けた際に、先端が軟化、暗緑色になって品質が低下してしまうので気を付けてくださいね。
    長期保存する場合は、塩水で1分間程度茹でて、冷水で冷やした後、水分を切ってラップ、もしくはポリ袋に入れて冷凍保存してください。これで1〜2か月程度は保存が可能ですよ。
    お料理する際のご参考になれば嬉しいです。ぜひ北海道のアスパラガスを食べてみてください!